40代・50代の転職が活発化|若手採用だけでは応募が集まらない企業の見直し方

40代・50代の転職が活発化
「若手を採用したいが、そもそも応募が来ない」「35歳以下を想定して募集しているが、対象者がほとんどいない」と悩んでいませんか。
若手採用を重視すること自体が間違いではありません。しかし、年齢を優先するあまり、入社後に活躍できる経験者まで採用対象から外しているケースがあります。
マイナビの最新調査では、2025年の正社員転職率は7.6%で過去最高水準となりました。年代別では40代が6.8%、50代が3.8%で、いずれも前年を上回っています。
この記事では、40代・50代の採用を検討する企業に向けて、転職市場の変化と、若手採用だけでは応募が集まらない場合に見直したい採用条件、求人原稿、選考基準、スカウト運用を解説します。
この記事の要点
- 2025年の正社員転職率は7.6%で、調査開始以降の最高水準
- 40代の転職率は6.8%、50代は3.8%で、ともに前年から上昇
- 若手採用をやめるのではなく、年齢以外の条件から対象者を広げる
- 40代・50代には、役割、評価、給与、定年後の働き方まで具体的に伝える
- 採用対象は年齢ではなく、任せたい仕事と必要な経験から設計する
40代・50代の転職は本当に活発化しているのか
調査開始以降の最高水準
前年比+0.7ポイント
前年比+0.3ポイント
増えると見込む企業
マイナビの「転職動向調査2026年版」では、2025年に転職した正社員の割合は7.6%となり、前年の7.2%から0.4ポイント上昇しました。
年代別では20代が12.0%で最も高いものの、前年から0.4ポイント低下しています。一方、40代は6.8%で0.7ポイント増、50代は3.8%で0.3ポイント増となりました。40代・50代はいずれも2021年以降、転職率の上昇が続いています。
dodaでもミドルシニアの転職サービス新規登録者数と転職決定者数は増加傾向です。2025年上期の新規登録者数は2019年同期比164%、転職決定者数は約2倍となり、2026年は転職決定者数が過去最多水準になると予測されています。
「若手しか転職しない」という前提を見直す
40代・50代の転職率は20代より低いものの、継続的に上昇しています。若手だけで母集団を作れない企業にとって、経験を生かして働きたい層は無視できない採用対象です。
若手採用だけでは応募が集まらない3つの理由
1対象となる人数を自ら狭めている
採用担当者が「できれば30代前半まで」と考え、その前提で経験年数や将来性を設定すると、募集対象は大きく狭まります。
若手人材を求める企業は多いため、同じ年齢層を複数社で取り合う状態になります。給与、知名度、勤務地、休日などで大手企業に勝ちにくい中小企業ほど、若手だけに限定した採用は難しくなります。
必要なのは、採用基準を下げることではありません。「年齢」を条件にする代わりに、入社後に任せたい仕事と、その仕事に必要な経験を明確にすることです。
2経験者の市場流入が増えている
40代・50代の転職理由には、給与や仕事内容への不満だけでなく、今後の昇進や昇給が見込めないという中長期的なキャリアへの不安があります。
マイナビの調査では、転職理由の1位は「給与が低かった」の23.2%でした。50代では「今後の昇進や昇給が見込めないと思った」が前年から4.3ポイント増加しています。
現在の会社で経験を生かしきれない、役職定年後の役割が見えない、評価や昇給の可能性が低いと感じる人材が、新しい職場を探している可能性があります。
3採用前の懸念が実態と一致していない
dodaが40代後半~50代の採用経験を持つ企業に行った調査では、採用前に「業務内容の習得に難がありそう」と懸念した割合は48.1%でした。
一方、その懸念を持っていた企業の89.6%は、採用後には課題を感じなかったと回答しています。
年齢だけを見て「新しい仕事を覚えにくい」「職場になじめない」と判断すると、実際には適応できる人材まで除外する可能性があります。
採用担当者が確認すること
過去に40代・50代の応募者を不採用にした理由を確認し、年齢そのものではなく、経験、能力、役割、条件の不一致で説明できるかを見直します。
40代・50代の採用で見直すべき5つのポイント
1採用ターゲットを年齢ではなく役割で決める
「35歳以下の若手が欲しい」ではなく、「入社後に何を任せたいか」から採用ターゲットを作ります。
年齢条件を役割・能力へ置き換える例
年齢だけでは、仕事の遂行能力や定着可能性は判断できません。任せたい業務、必要な経験、期待する成果を言語化すると、40代・50代を含めても採用基準が曖昧になりません。
2必須条件と歓迎条件を分ける
業界経験、職種経験、資格、マネジメント経験、特定システムの使用経験などをすべて必須にすると、年齢に関係なく対象者が少なくなります。
- 入社初日から必要な知識・資格
- 入社後3か月程度で習得できる業務
- あれば早期活躍につながる経験
- 異業界でも代替できる共通スキル
たとえば「同業界経験5年以上」を必須にする代わりに、「法人営業経験3年以上」を必須、「同業界経験」を歓迎とすれば、異業界で顧客折衝を経験した40代・50代も対象にできます。
3求人原稿で役割と処遇を具体的に伝える
40代・50代の経験者は、単に月給だけでなく、入社後の立場、任される範囲、評価のされ方、将来の働き方を確認します。
- 入社後に任せる業務と責任範囲
- 管理職採用か、専門職採用か
- 部下やチームを持つ可能性
- 経験によって初任給をどう決めるか
- 昇給・評価のタイミングと基準
- 定年年齢と再雇用制度
- 入社後の教育や業務引き継ぎ
「経験を考慮します」だけでは、候補者は自分がどのように評価されるか判断できません。想定する経験と給与例、期待する役割を可能な範囲で示しましょう。
転職活発化=必ず年収が上がるわけではない
マイナビの調査では転職後の平均年収は全体で増加しましたが、50代は唯一減少しました。企業側は過度に条件を低く設定せず、候補者側も役割、働き方、定年後の継続雇用を含めて判断できる情報が必要です。
4選考では経験と適応力を分けて確認する
経験年数が長いからといって、自社でも同じ成果を出せるとは限りません。反対に、年齢が高いから新しい業務へ適応できないとも限りません。
面接では、過去の役職名だけでなく、実際に担当した仕事、成果を出すために取った行動、環境変化への対応、入社後に学ぶ必要があることへの考え方を確認します。
面接で確認したい質問例
5求人掲載とスカウトを使い分ける
40代・50代の経験者採用では、転職サイトへ掲載して待つだけでなく、スカウトを組み合わせる方法があります。
対象者が限られるほど、企業側から経験を確認して声をかける方が接点を作りやすくなります。スカウトでは「経験豊富な方を募集しています」と一括送信するのではなく、候補者のどの経験を評価し、入社後に何を任せたいのかを具体的に伝えます。
マイナビ転職とdodaのどちらが適しているかは、年齢だけでは決められません。募集職種、勤務地、必要経験、採用人数、スカウト対象者数、予算を確認したうえで選びます。
40代・50代の採用が向いているケース
- 若手採用だけでは応募母集団を確保できない
- 顧客対応や専門業務を早期に任せたい
- 管理職候補や後継者候補が不足している
- 若手社員を教育できる人材が必要
- 業務ノウハウや顧客関係を引き継ぎたい
- 新規事業や組織改善に外部経験を取り入れたい
一方、未経験者を長期間かけて育成する前提の募集や、初任給・役割が経験者の希望と大きく合わない募集では、対象を広げても採用につながらないことがあります。
40代・50代を採用対象に加える前に、自社が求める経験と、提供できる役割・処遇が一致しているかを確認しましょう。
求人で年齢を限定するときの注意点
労働施策総合推進法では、募集・採用において年齢を理由とした制限を設けることは原則として禁止されています。
求人票では年齢不問としながら、実際には年齢だけを理由に応募を断ったり、書類選考や面接で採否を決めたりすることも、法の規定に反します。
一定の例外事由に該当する場合は年齢制限が認められることがありますが、「若い方が職場になじみやすい」「将来性がある」といった理由だけでは年齢条件を付けられません。
求人原稿で避けたい考え方
「若手歓迎」「35歳くらいまでを想定」など、実質的な年齢制限と判断される可能性がある表現は慎重に扱います。求人審査や法的判断が必要な場合は、媒体担当者、労働局、ハローワーク、社会保険労務士へ確認してください。
採用対象を広げる前に確認するチェックリスト
- 若手を求める理由を、年齢以外の言葉で説明できるか
- 入社後に任せる業務と期待成果が決まっているか
- 必須経験と歓迎経験が分かれているか
- 管理職採用か専門職採用かが明確か
- 経験に応じた給与の決め方を説明できるか
- 定年と再雇用制度を説明できるか
- 年下の上司になる可能性を事前に説明できるか
- 過去の役職ではなく、実際の能力を評価できる面接になっているか
- スカウトで評価した経験と任せたい役割を伝えているか
RECRUITING SUPPORT
若手だけでは集まらない採用条件を、見直しませんか?
株式会社ライノワークスでは、採用したい人材、任せたい仕事、必要な経験を整理し、40代・50代を含めて対象を広げるべきか検討します。マイナビ転職・dodaの媒体選定、求人原稿、スカウト対象、選考基準まで一体でご提案します。
まとめ
2025年の正社員転職率は7.6%で過去最高水準となり、40代は6.8%、50代は3.8%と、いずれも前年を上回りました。
若手採用だけで応募が集まらない企業は、若手採用を諦めるのではなく、年齢を優先して対象者を狭めていないか確認する必要があります。
採用ターゲットは、任せたい仕事、必要な経験、期待する成果から設計します。求人原稿では、役割、給与の決まり方、評価、定年後の働き方まで具体的に伝えましょう。
40代・50代の経験者を含めて採用対象を広げることで、若手だけでは出会えなかった即戦力、管理職候補、教育担当者に出会える可能性があります。
参考:マイナビキャリアリサーチLab「転職動向調査2026年版(2025年実績)」(2026年3月23日公開)
参考:マイナビキャリアリサーチLab「転職動向調査2026年版(2025年実績)速報」(2026年1月9日公開)
参考:パーソルキャリア「2026年 ミドルシニアの転職市場予測レポート」(2025年12月22日公開)
参考:パーソルキャリア「企業のミドルシニア層の採用に関する調査レポート」(2025年12月2日公開)
参考:パーソルキャリア「企業のミドルシニア層の採用に関する調査レポート(バイアス編)」(2025年10月16日公開)
※掲載内容は2026年8月5日時点で確認できる公表資料をもとにしています。各調査ではミドルシニアの年齢区分、対象者、母集団、調査方法が異なるため、異なる調査の数値を単純比較していません。
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