内定辞退を減らすには何を変える?企業が効果を感じた3つの採用改善策

内定辞退を減らすには、内定を出した後の連絡回数だけでなく、選考中に候補者が得られる情報と体験を見直す必要があります。候補者は給与や勤務地だけでなく、「誰と働くのか」「実際の仕事はどう進むのか」「入社後に活躍できそうか」を他社と比較しています。
採用担当者が丁寧に説明しているつもりでも、会社案内の繰り返しや一方的な説得になれば、候補者の疑問は残ります。内定辞退を防ぐ目的は候補者を引き留めることではなく、判断に必要な情報を渡し、双方が納得して入社を選べる状態をつくることです。
この記事では、マイナビの企業調査をもとに、企業が実施してよかったと感じた採用手法から、内定辞退対策に生かしやすい3つの改善策を解説します。
この記事の要点
- 内定辞退対策は、内定後だけでなく選考中の企業理解・職種理解から始まる
- 若手社員の仕事解説、評価を伴わない個別面談、会社訪問を組み合わせる
- 連絡頻度を増やすだけでなく、候補者が判断できる情報を増やす
- 内定辞退率、承諾までの日数、辞退理由を記録して改善する
内定辞退を減らすには、選考体験から変える
マイナビが2026年6月3日~20日に3,590社を対象として行った「2027年卒 企業新卒採用活動調査」では、実施してよかった採用手法として、若手社員による仕事内容の解説、面接以外の個別面談、最終面接段階や内定後の会社訪問受け入れなどが挙げられています。
共通するのは、候補者が採用担当者以外の社員や実際の職場に接し、仕事内容と働く環境を具体的に確認できることです。内定後に急にフォローを始めるのではなく、選考中から判断材料を増やす設計になっています。
調査結果を読むときの注意点
「実施してよかった」という企業の評価であり、各施策が内定辞退率を何ポイント下げたかを示す因果分析ではありません。自社でも実施前後の承諾率や辞退理由を記録し、効果を確認する必要があります。
別のマイナビ集計では、2025年卒の内々定者に対して企業が実施し、効果があったと感じた辞退対策は次のようになっています。
食事会など
この数値は「2026年卒企業新卒採用活動調査」において、前年の2025年卒内々定者への施策を振り返ったものです。内定者懇親会が突出していますが、食事会を開けば必ず辞退が減るという意味ではありません。候補者が社員や同期候補と接し、入社後の人間関係を想像できたことが重要だと考えられます。
候補者はなぜ内定を辞退するのか
2026年卒企業新卒内定状況調査では、企業が把握した辞退理由の最多は「より志望度の高い企業から内定が出た」の49.8%でした。続いて希望職種17.7%、希望勤務地15.1%、企業業種12.1%、給与条件11.4%となっています。
「志望度が高い企業を選んだ」という回答だけでは、具体的な改善点は分かりません。仕事内容への理解、社員への信頼、勤務地、待遇、選考中の対応など、複数の要素を含む可能性があります。辞退理由を選択肢だけで終わらせず、可能な範囲で「最終的な決め手」と「自社で不安だった点」を分けて確認することが重要です。
企業が効果を感じた3つの採用改善策
1若手社員がリアルな仕事内容を説明する
採用担当者は制度や会社全体を説明できますが、配属後の仕事の細部までは伝えにくいことがあります。入社2~5年目の若手社員から、1日の流れ、最初に苦労したこと、教育担当との関わり、残業や繁忙期、評価された行動を説明してもらいます。
成功談だけを並べると会社説明会と変わりません。「入社前に知りたかったこと」「仕事で大変な場面」「独り立ちまでにかかった期間」も含めると、候補者が自分の適性を判断しやすくなります。
実施方法
同じ職種または配属可能性が高い部署の若手社員1~2人と、30~45分の対話機会を設ける。採用担当者は冒頭と終了時のみ同席し、候補者が質問しやすい時間を確保する。
- 仕事の良い面と難しい面を両方伝える
- 入社後1か月、3か月、1年の仕事を具体化する
- 給与や制度について推測で回答しない
- 社員ごとに説明内容が矛盾しないよう事前共有する
2合否判定をしない個別面談を設ける
面接では評価されている意識が働くため、候補者が本音の不安を話しにくいことがあります。選考途中または内定前後に、評価を目的としない個別面談を設定し、仕事内容、配属、勤務地、働き方、キャリア、条件面の疑問を確認します。
大切なのは志望度を問い詰めることではありません。「他社と迷っていますか」ではなく、「入社を判断するうえで、まだ分からない情報はありますか」と聞きます。回答できない内容は、その場で曖昧に答えず、社内確認後の回答期限を伝えます。
実施方法
30分程度のオンラインまたは対面面談を設定し、冒頭で「合否評価には使わない」と説明する。不安事項、確認担当、回答期限を記録し、候補者へ回答漏れがないようにする。
3最終面接前後に職場を見てもらう
写真やオンライン説明だけでは、職場の広さ、社員同士の距離感、設備、通勤経路、実際の雰囲気までは伝わりません。最終面接段階または内定後に、配属候補部署の見学と現場社員との短い対話を組み込みます。
会社のきれいな場所だけを見せるのではなく、実際に働く場所、使う設備、休憩場所、業務の流れを案内します。見学時と入社後の環境が大きく違えば、辞退を防げても早期離職につながるため、実態を誠実に伝えることが重要です。
実施方法
60分程度で「職場見学→配属責任者の説明→若手社員への質問」の順に設計する。遠方の候補者には、オンライン職場案内や社員座談会を代替案として用意する。
待遇と選考スピードも同時に確認する
コミュニケーション施策だけで、給与や勤務地の大きな差を埋められるとは限りません。2027年卒企業新卒採用活動調査では、初任給を引き上げた企業は89.1%でした。引き上げにより、応募増加や内定辞退減少などの求職者へのアピールに効果を感じる企業も増えています。
ただし、初任給だけを上げると既存社員との給与逆転や収益圧迫が起こる可能性があります。給与、固定残業代、賞与、勤務地、転勤、休日、配属、試用期間を内定通知書や条件通知で明確にし、求人原稿や面接説明との食い違いをなくすことが先です。
内定連絡が遅い場合も、候補者は先に結果が出た他社へ進みます。最終面接後の結果連絡日、条件提示日、回答期限を社内で決め、候補者に見通しを伝えましょう。
内定辞退対策を30日で見直す進め方
30日間の改善プラン
内定辞退率は「内定辞退数÷内定者数」、内定承諾率は「承諾者数÷内定者数」で確認します。採用人数が少ない企業では率が大きく変動するため、人数と辞退理由も合わせて記録してください。
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まとめ
内定辞退を減らすには、内定後の連絡頻度だけでなく、選考中から候補者が得られる情報を増やすことが重要です。若手社員による仕事解説、評価を伴わない個別面談、最終面接段階や内定後の会社訪問は、仕事内容と職場への理解を深める施策として企業の評価が高い傾向にあります。
一方、コミュニケーションだけで条件差を埋めようとしてはいけません。給与、勤務地、配属、休日、選考スピードも確認し、説明内容と実態を一致させる必要があります。
まずは直近1年の辞退時期と理由を整理し、候補者が判断できなかった情報を特定してください。施策の実施回数ではなく、承諾率と辞退理由の変化で改善効果を判断しましょう。
参考:マイナビキャリアリサーチLab「2027年卒 企業新卒採用活動調査」(2026年7月22日公開)
参考:マイナビキャリアリサーチLab「内定(内々定)辞退率の動向-辞退の理由と企業の辞退対策-」(2026年3月16日公開)
参考:マイナビキャリアリサーチLab「2026年卒企業新卒採用活動調査」(2025年7月23日公開)
参考:マイナビキャリアリサーチLab「2026年卒企業新卒内定状況調査」(2025年11月7日公開)
※掲載内容は2026年8月17日時点で確認できる資料をもとにしています。本記事の主要データは新卒採用に関する調査です。中途採用へ応用する場合は、内定から入社までの期間や候補者属性の違いを考慮してください。
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